ハーブに不思議な魅力を感じたのは38年前のことです。

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アンティーブ旧市街の店先
アンティーブ旧市街の店先

当時、カリフォルニアのロスアルトス市に住んでいました。

 

シリコンバレーと呼ばれる一帯に位置して気候は温暖で、春から年末まで殆ど雨の降らない地中海式気候に属しています。

 

青い空とまぶしい太陽、夏テニスをしてもあまり汗をかかない、さらっとした過ごしやすい気候でした。

 

南仏ニーム
南仏ニーム

借りていた家は丘の斜面に建っていて、周囲は樫の木のような高木常緑樹だけではなく、オリーブ、オレンジ、レモン、アメリカンチェリー、アプリコット、アーモンド、洋ナシなどの果樹に囲まれ、春になると色とりどりの花にそのコテージは包まれました。富有柿のようなアジアの果樹も植えられていて、秋には結構おいしい実を収穫できました。

 

 

煉瓦造りのバーベキューエリアの横には、色とりどりのバラが真冬以外は花をつけ、春になると前庭にワイルドフラワーが、中でもオレンジ色のカリフォルニアポピーやブルーのテキサスボンネットが咲き乱れ、その隣には家庭菜園があり、トマトが鈴なりに育っていました。

 

ニームのヴィラ
ニームのヴィラ

ハーブも北斜面の宿根草花壇の中に植えられていたのです。でも、はじめはそれが何だか知りませんでした。 

 

アメリカのスーパーでは薄切り肉が見つからず、慣れない固まり肉を購入するのですが、当時はどう料理したものかわからず途方に暮れて、料理本を購入してはいろいろと試してみました。

 

すると大抵、どうも薬味として使用されてる、どこかで聞いたことがあるものの実際には見たことがない名前がいつも出てくるのです。

 

38年前のことですから。

日本ではまだあまりハーブを見かけなかったと思います。

 

ヴィルフランシュ・シュルメール
ヴィルフランシュ・シュルメール

 

それがタイムやローズマリー、セージ。

 

スーパーで購入して帰ってくると、なんと、庭にも同じものが植えられているではないですか。

 

ハーブを入れる入れないで、料理の味に大きな差が生まれることを知りました。

それはそれは、とても不思議な感じでした。

プロバンス、ソーのラベンダー畑
プロバンス、ソーのラベンダー畑

帰国して住んだ房総半島の家は、車で2時間ぐらい走ると大多喜ハーブガーデンに着く距離にありました。

 

精油や種や苗を買うために、幾度車を走らせたことでしょう。今のようにはハーブ苗がたやすく手に入らない頃のことです。

 

種から育て冬越しさせた苗は、自宅に十分な植える場所がなく、ご近所に配り歩いたこともありました。 

 

 

 

フェラ岬のヴィラ・ロートシルド
フェラ岬のヴィラ・ロートシルド

そのうち収穫したハーブがモリモリになり、どうしたらよいものかと言う羽目に。

毎日のハーブ風呂ではとてもはけません。

勿論、ドライにして保管したりドライフラワーのリースにもしましたけれど。

 

当時本屋さんに出向いてもハーブの本はあまり見つかりませんでしたから、ハーブの写真がきれいな洋書を購入すると、様々なハーブの育て方や効能が沢山載っていて、チンキやローションの作り方を知りました。

 

ハーブティーが身体にとても良いことを少しずつ知るようになりました。

でもその頃はまだ、これと言って家族の健康に問題もなく、わざわざハーブティーを飲むメリットを感じていませんでした。

 

ヴァルボンヌ
ヴァルボンヌ

ところがその後しばらくして、母が重い熱中症で気を失い救急車で運ばれて、死の淵をさまようという事態が起きました。

 

その晩が峠と告げられました。

 

なんとかその時は命が繋がり退院することができましたが、高熱から片足の大静脈が消失しているとのこと。


え?どういうことなのか理解できませんでした。

 

その後夏が来るたびに母は高熱を出し、度重なる入院生活で筋肉が衰え、しだいに背骨がS字に湾曲して、座っていても横に倒れていく状態になっていきました。

サン・トロぺ
サン・トロぺ

 

 

ドクターから母に毎日水をできるだけ飲ませなさいとの指示が有り、海洋深層水を取り寄せたり他にもいろいろな水を取り寄せて、なんとか飲ませようとしましたが、1リットルの水分をとらせることは困難でした。

 

ビオット
ビオット

母は高熱を出す度に身体が不自由になり、車いすが必要でした。病気と名のつくものは無かったのですけれど。

 

熱中症で倒れるまで医者知らずの人でしたから、握力がなくなりスプーンで食事することさえ不自由になると、母は自分が情けなくなり気持ちは落ち込み、精神的にうつ傾向にありました。

 

コリウールのマルシェのハーブ
コリウールのマルシェのハーブ

その頃のことです。いろいろと本で読んではいたものの、生半可なままのハーブやアロマの知識を、もっときっちりと学んでおけばよかったと、後悔ばかりが先立っていました。

 

中途半端な知識では、怖くて、衰弱している母に結局何もしてあげられなかったのです。

不甲斐ない思いでした。

 

 

サン・ポール・ド・ヴァンス
サン・ポール・ド・ヴァンス

実はそれまでブライダル装花やブーケ作りをしていた事もあり、花の持つ香りや色や精気による癒しと喜びを既に十分体感していましたが、このことがあってから、植物の持つ更なるチカラについて、深く学びたいと思い始めました。

 

 

あれから何年経ったでしょうか・・・

現在は、多くの方々にお茶やハーブティーの持つ魅力とパワーを知っていただき、病気の予防やプチトラブルの解決に、心の癒しに、手軽にお茶やハーブティーを利用していただけるよう、日々新しい情報を得ながら普及活動を進めています。

 

香水の中心地グラースのガリマール社で
香水の中心地グラースのガリマール社で

ところでお茶やコーヒーは、そもそも薬として飲まれていたわけで、その覚醒作用のみならず、人が疲れた時の癒しであったり、広く考えれば、洋の東西を問わず、人々が長くその効果を体感して来た植物療法の一つです。

 

ただ、緑茶や紅茶、中国茶、コーヒーは、嗜好品として長い年月人が研究を重ね、練りに練った製法を編み出し、美味しく飲める飲み物に仕上げたわけですから、それぞれお湯を注げば簡単に、シングルで口にしても大変美味しいわけです。

 

一方ハーブは、ネアンデルタール人の時代から変わらず薬草のまま。乾燥させてカットしただけですから、生産者の技術レベルで様々とは言え、やはり1種類だけで飲むと、多くは旨味の少ない個性的な味と感じます。これにはハーブの品質や状態も大きく関わっていて、お茶やコーヒー豆と同じ事、しっかり生育管理された高品質のハーブであれば、より滋味深い味わいが楽しめるわけですが、なんと嬉しいことに、ハーブは数種類を上手くブレンドすると美味しくなり、視覚的にも楽しめますし、相乗効果も生まれてきます。そしてその一杯が、その時々の心や身体の状態が欲している成分をもつハーブティーであったりすると、それはとても美味しい、五臓六腑に染み渡るティー、という表現に相応しい飲み物に変身したりで、まさに驚きです‼︎

 

もっとハーブティーを気軽に、もっと美味しく飲んでみませんか?